2015年12月5日 カメラ2・認知症の父が「家族が10万円盗った」と言って死亡

11月下旬、カズトの父は入院した。

11月中旬、父に熱があったので、近所の内科に連れて行った。
すると「風邪」だと診断された。

しかし夜中に痙攣が起きたのので、救急車で「労災病院」に搬送された。

12月5日(土)午前、カズトが母と妻と父の見舞いに行くと、目を閉じていた。そして苦しそうだった。カズトが話しかけても返事がなかった。

病室を出ようとしたとき、父がかすれた声で言った。
「10万円・・盗ったの・・ 誰だ?・・」と

カズトは説明した。
「誰も盗ってないよ。
オヤジが10万円を自分で引き出して、みんなに寿司をご馳走したんだよ」
父にその言葉が届いたかどうか分からない。

昼食前に家族は病院を去った。

その日の15時ごろカズトの携帯電話が鳴った。病院からだった。
父が息を引き取ったとのことだった。

病院に行くと医師から説明があった。
死因は“誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)”とのことであった。

「家族が10万円盗った」、と恨みをもってこの世を去った。
カズトはやり切れない思いだった。

もし2015年11月12日(木)に「いなほ銀行」が防犯カメラの動画を父に見せてくれていたら、父の最後の言葉はもっと良いものだっただろう。。

風邪だと軽く考えていたのに。
2週間後の父の突然の死は大きなショックであった。

そして葬儀や初七日の法事、いろいろな手続きに忙殺され、カズトは「いなほ銀行」のことを忘れた。

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